without you
「・・・久遠社長」
「ん?どーした、あみか。俺、またおまえに睨まれるようなことしたか?」
「いえっ。あの・・・これを」
私は思いきって、彼の机の上に、白い封筒を置いた。
「・・・これは何だ」
「“退職届”って書いてあるでしょ」
「あ?俺、漢字弱えからなあ。今一時的に読めなくなった」
「こんな時に嘘つかないでください!私、本気なのに」
「俺だって本気だ!一体、なんでいきなりこんなもの出すんだよ」
「それは・・・べつに、今日付けで辞めるつもりはないけど、でも・・・でも、もう・・・」
声が、体が震える。
こんな時なのに・・いや、こんな時だから、涙が出そうになった私は、純世さんに泣き顔を見られないよう、俯いた。
でも、純世さんは、大柄なのに素早い身のこなしで、私の目の前に立った。
と思った次の瞬間には、私をギュッと抱きしめていた。
・・・温かい。
そして純世さんは、相変わらず・・熱い人。
私は、彼の逞しい胸板に頬を寄せて、彼の白いワイシャツに手のひらを重ね置いた。
「もう、何だ」
「・・・・・・きつい」
「・・・そっか。もう少ししてから、少なくとも年内には言おうと思ってたが。何を待ってたんだろうな?俺は。言うのは今がベストタイミングじゃないか」
「え?何が?それとも、何を?」
怪訝な顔で見上げる私を安心させるように、ブツブツ呟いていた純世さんは、ニッコリと微笑んだ。
でも彼は、私を離そうとはしない。
「なあ、あみか」
「・・・はい」
「結婚しよう」
「ん?どーした、あみか。俺、またおまえに睨まれるようなことしたか?」
「いえっ。あの・・・これを」
私は思いきって、彼の机の上に、白い封筒を置いた。
「・・・これは何だ」
「“退職届”って書いてあるでしょ」
「あ?俺、漢字弱えからなあ。今一時的に読めなくなった」
「こんな時に嘘つかないでください!私、本気なのに」
「俺だって本気だ!一体、なんでいきなりこんなもの出すんだよ」
「それは・・・べつに、今日付けで辞めるつもりはないけど、でも・・・でも、もう・・・」
声が、体が震える。
こんな時なのに・・いや、こんな時だから、涙が出そうになった私は、純世さんに泣き顔を見られないよう、俯いた。
でも、純世さんは、大柄なのに素早い身のこなしで、私の目の前に立った。
と思った次の瞬間には、私をギュッと抱きしめていた。
・・・温かい。
そして純世さんは、相変わらず・・熱い人。
私は、彼の逞しい胸板に頬を寄せて、彼の白いワイシャツに手のひらを重ね置いた。
「もう、何だ」
「・・・・・・きつい」
「・・・そっか。もう少ししてから、少なくとも年内には言おうと思ってたが。何を待ってたんだろうな?俺は。言うのは今がベストタイミングじゃないか」
「え?何が?それとも、何を?」
怪訝な顔で見上げる私を安心させるように、ブツブツ呟いていた純世さんは、ニッコリと微笑んだ。
でも彼は、私を離そうとはしない。
「なあ、あみか」
「・・・はい」
「結婚しよう」