without you
セキュリティーが行き届いているマンションに住んで、毎月決まったお金がもらえる、忙しくても充実した仕事ができるこの環境に、私はなじもうとしていた。

いや、甘えていた。

腹立ちと苛立ちをぶつけるように、私は両手で机を叩いた。
誰もいない社長室に、バンという音が鳴り響く。
そして私はダテ眼鏡を外すと、両肘をついて、両手で顔を覆った。

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