without you
久しぶりに妹との最後のやりとりを“思い出した”のは、今がちょうど桜が満開の季節だからかなと、電車の車窓に映る景色を見るともなしに、何となく思った。

さくら・・・元気かな。
お父さんとお母さんも。
まだ生きてる、よね?

憂いを払うように、私は一度だけ瞬きをすると、バッグから手帳を取り出して、今日の仕事の確認と段取りを組み始めた。

これ以上感傷に浸っても、家族と再会できないんだから。
電車に乗ってる20分の間、いつもしていることをしよう。

< 7 / 636 >

この作品をシェア

pagetop