without you
結局、私の自信は、つけ焼刃的なものだったのか。
「私は絶対採用される。この職は私のものだ!」という私の勝手な思い込みは、見事に萎えてしまった。

それでも、私はここまで来た。
「A-spade」側も面接に来るように、連絡をくれた。
今ひるんだところで採用されるかどうかは分からないじゃない。

気を引き立たせた私は、一度、深呼吸をすると、自分の巣にしたマンションの一室で練習したように、優雅に、そして堂々と歩きながら、顔を上げて中へ入った。


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