義理チョコ革命!
結局……

渡す時 なかったじゃん。

どーするのさ、あたし。

今日、一回も話してないし。

「 あたしって、つくづく バカだなあ……。 あー、星だあ 」

空を見上げたら、キラキラ輝く星が

ふたつ、並んでた。

「 キレイ…… 」

そして、ふと思う。

「 あたしと高井も あんな風になれたらいいのになー 」


「 じゃーなっ、山石っ 」

「 おー!高井も気をつけて帰れよー 」

えっ‼︎

高井⁉︎

「 っ! 」

やばっ。

振り向いた高井と、目があっちゃった。

すごく静か。

聞こえるのは、

お互いの存在を気にしないように歩く、

ふたりのエナメルバッグのゆれる音。

距離……2mってとこ?

気まずいっ。

でも、チャンスは今しかない‼︎

「 高井さあ、今日
いっぱいチョコ もらってたね? 」

「 えっ?あっ、ああ。
でも、全部 義理だぞ? 」

高井、とまどってる。

「 好きな人からは、もらえなかったんだ? 」

「 ……うん。ざーんねんっ 」

ああ。

あたしって、最低。

高井が好きな人からもらえなくて、

両思いじゃなくて、

……ホッとしてる。

「 昨日…さ、悪りぃ。
俺、お前の気持ち 全然考えてなかった。
マジ ごめん 」

高井が頭を下げた。

「 えっ、顔 上げてよ!
あたしの方こそ、なんか
やたらと感情的になっちゃってた。
ごめん 」

あたしが謝ると、

高井は顔を上げて 笑った。

「 俺らって、やっぱ いい感じな? 」

「 っ⁉︎ 」

いい感じ ってなに⁉︎

やめてよ。

また、勘違いしちゃうじゃん。

「 あー!
今日は、いっぱいおやつがあるっ。
家に帰ってから食おっと 」

今。

今、言わなきゃ。


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