魂‐soul‐
鬼ごっこでかいた汗が乾いて冷たい。

胸倉を掴まれても全く動じない雅は、自分に伸びている湊の腕を掴んだ。
 

「癌になったからね」

 
湊の腕は力なく垂れ下った。

膝から崩れ落ち、手をついた床は冷たい。

何もかもが冷たい。
 
「何で、俺達をゲームに参加させる必要があったん?」
 
湊の疑問を朔馬が代弁した。
 
湊の父親は、なぜ自分の息子を危険にさらしたのだろうか。

項垂れていた湊も顔を上げて、武流の姿をした父、悟(さとる)を見た。

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