魂‐soul‐
「そうだよ」
 
「すごいやん、武流」
 
美術館の展示品を鑑賞するかのように、朔馬は雅をぐるっと見回した。
 
「ところで、名前は?」
 
切れ長の目を湊に向けた。
 
「滝川湊です」
 
「君は?」
 
「塚原朔馬です」
 
雅は、自分の自己紹介はせず、湊達の名前だけ聞くとすぐさま本題を持ち出した。
 
「ここが例の森?」
 
雅の視線を追い、三人も風で揺れる森林を眺めた。

夜というシチュエーションがまた、恐怖心を煽った。湊は無意識に生唾を飲み込んだ。

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