魂‐soul‐
朔馬の言う通りだった。

またあのケースに魂を取られれば、次はいつ人間の中に入れるか分からない。

もしくは一生…。

朔馬の問いかけに父親は深く頷いた。
 
「勝手に人の家に入ったらあかん。そういうことや」

単純な答え。
 
でも湊は分かった気がした。

どうして母の沙希が再婚しなかったのか。

そして湊自身、このような危険な目に遭わされても父親を恨む気持ちは欠片もない理由が。

「はいはい、お喋りはそこまで」
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