魂‐soul‐
「やってくれ」
 
そんな湊の気持ちとは裏腹に、父親の決意は固かった。

教えられた通りに回線を繋ぎ、最後に魂の通り道となる透明の管を武流の魂が入っている透明の箱と繋げた。

ヘルメットをつけた父親の姿を湊はしっかり目に焼き付けた。

そしてカプセルの蓋を閉じた。
 
「これで終わり」
 

あとはボタンを押すだけ。


それだけの行為。

それなのに一分経っても二分経っても押すことができない。
 

「朔馬…押してくれへん?」


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