魂‐soul‐
そして最期の言葉を語り始めた。

「湊…俺はいい父親にはなられへんかった。父親としての役割を果たされへんかった。

そればかりかこんなことに巻き込んで悪かった。俺は武流君の中に入ったときからずっとこの日のチャンスを窺ってたんや。

雅に言われた通りに、どうやってお前をこのゲームに参加させるか。

やけどそんなのは口実で、ほんまは湊に会って話したいだけやった。それにはお前と接触して、友達になるのが一番やと考えた。

丁度受験シーズンやったからな。幸いにも武流君は頭が良かった。

そして無事入学。

偶然お前と同じクラスになった。

初めて言葉を交わしたときのことはよく覚えてる。

……半年も騙してて悪かった。朔馬君も、悪かったな」
 

黙って聞いていた湊は、そっとボタンに手を添えた。



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