魂‐soul‐
「父さんは、確かに俺の父さんやった」

中指にそっと力を込めた。

ボタンが凹んだと同時に、機械が作動する。
 
「ぐっ…」
 
中で悟が悲鳴を上げないように堪えているのが分かる。

わずかに漏れ聞こえる声に湊の心は痛んだ。

槙人の話では完全に完了するまで五分かかるとのこと。

今はその五分がもどかしい。
 
「おい!湊」
 
入口で見張っていた朔馬が声を上げた。
 

「来た」



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