魂‐soul‐
雅は片膝をついて立ち上がった。
 
「そんな…」
 
膝をついたときに、とどめをさせばよかった。 

湊と朔馬は後悔した。

だが、雅は言葉とは裏腹に膝から崩れ落ちた。

息を呑んでその様子を見つめていた湊はそっと雅に近づいた。
 
「たぬき寝入りとかしてるんちゃう…?」
 
朔馬が心配そうに覗き込んだ。
 
「いや…ちゃんと効いたみたいやで」
 
湊は雅を仰向けにした。

端正な顔立ちで眠っている。
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