魂‐soul‐
「下ろそう」
 
二人は武流をカプセルから出した。

そして、まだピクリとも動かない雅をカプセルに入れた。
 
「こいつはここにいてはいけない…」
 
こんなことが許されるのかは分からない。

でも、少なくともこいつをこのままにしておけない。

湊は雅の頭にヘルメットを装着しカプセルの蓋を閉めた。

本物の雅の魂はここにはない。

あの巨大ケースの中にいたのだろうか。

それとも他の人間の中に入り生活しているのだろうか。

魂の通る管の先には何もつけていない。

湊は赤いボタンを押した。

先程は雅との悶着で見ることができなかった。

湊と朔馬はじっと透明の管を見つめた。
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