魂‐soul‐
指の皮がめくれている。

黒のコートは無造作に床に脱ぎ捨てられていて、白いカッターシャツには赤い血が滲んでいた。

湊は落ちていたコートを拾い、槙人に着せた。

「麻酔針、あれが無かったら俺らもやられてたかもしれへん。ありがとう…」

手を握り締めたとき、ぴくりと反応が返ってきた。

気のせいなんかじゃない。


「槙人?」



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