魂‐soul‐
見慣れた景色の場所まで出てくることができた。

二人はそのまま病院へ向かった。

武流が精密検査を受けている間、二人はそれぞれの家に電話をした。

病院へ駆けつけた沙希は、湊を抱きしめたまま離そうとしなかった。

案の定、警察沙汰になっていた。

病院に来た警察には森の中で迷って、その中で人が倒れていたと話した。

無論、あの場に置いてきた雅達のことだ。

詳細は一切触れていない。

本当は話したかった。


「父さんに会った」と。


「とてもいい父親だった」と。



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