魂‐soul‐
「ほんとに行くのかよ」
 
横を歩く朔馬の顔を、武流が不安げに見やった。
 
「怖いんやったらここに残っときや」
 
ホラー好きな朔馬が楽しそうに足を弾ませた。

一瞬本当に残ろうかと思ったが、後ろを振り返ると、どこを見渡しても雑木林で気味が悪い。

風で葉が揺れると同時に恐怖心が倍増した。

ここに一人でいるぐらいならついて行った方がマシだ。
 
「置いてくなよ!」
 
四人は館の目の前で止まると、その大きさに驚嘆した。

遠くから見るよりずっと迫力がある。

外観にさびれた様子は無く、むしろ新築何年といった感じだ。

誰も住んでいないのか、外から見る限り、どの部屋にも電気が点いていない。

暗くてよく見えないが、おそらくクリーム色の壁を一周辿ってみる。

何もない。

結局玄関前で合流するだけであった。
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