魂‐soul‐
「とりあえずインターホン押してみる?」
 
湊の提案に賛成はするものの、誰も押そうとはしなかった。
 
「雅先輩押してくださいよ」
 
武流が雅の肩をつついた。
 
「ヤだよ。もし鬼婆とか出てきたらどうするの。真っ先に捕まっちゃうじゃん」
 
真顔そう言うと一歩下がり逃走体勢をとった。
 
「俺が押すわ」
 
湊は息を吸い込み一気にインターホンを押した。
 
ピンポーーン
 
押してすぐに湊も後ろへ退いた。

緊張した面持ちで四人は玄関を見つめていたが、何も起こらない。
 
「ほら、誰もいないって」
 
ほっと肩の力が抜けた武流は三人を促し、一刻も早く去ろうとしていた。
< 18 / 170 >

この作品をシェア

pagetop