魂‐soul‐
「あ、勝手に入ってすみません」
 
武流がすぐに謝った。

部屋の中だというのにコートを羽織っている男は、無愛想な顔つきで表情一つ変えない。

湊はまじまじと男を見た。

年は二十代前半。外国人のように高い鼻とくっきりした二重は格好よさを象徴していた。

日本人ではあまり似合わない赤髪も彼にはしっくり馴染んでいる。

無言で近寄って来る男に、妙な威圧感を感じる。

思わず一歩後退りした。四人に一瞥を投げかけた後、男は薄く形の良い唇の端を上げた。
 
「お前らが今回のプレーヤーか」
 
男の言っている意味が分からず、湊は「え?」と言葉を漏らした。
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