魂‐soul‐
「お、俺達に何か用でもあるん?」
 
先程まで武流をからかって遊んでいた朔馬もさすがに声が上擦っていた。

湊は声も出ない。

そしてなによりも寒い。

この部屋に入ったときから感じていた。

異常なまでの冷気。

だが、普通の寒さとは違う。

身体ではなく心が凍っていくような、そんな感覚。
 
「これ、見てごらん」
 
魁人はケースを指差した。

四人はケースの前に立った。
 
「人間の魂だよ」 
 
そう言われても、にわかに信じ難い。

それはこの男の口が笑っているからだろう。

ケースの中で浮遊している数えきれない物体を湊は見つめた。
 
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