魂‐soul‐
「そんなの信じられるわけないやろ」
 
「なら試してみる?」
 
魁人の視線は、カプセルに移っていた。

カプセルに手を添えながら続けた。
 
「これは魂を入れ替える装置だよ。ここに座った人間の魂はこっちのケースに移動し、代わりにこのケースからランダムに選ばれた魂が入る。どうだい?面白いだろ?」
 
心の大部分は嘘だと思っているがほんの一部がその可能性を肯定していた。

やってみるかと聞かれればその勇気はない。

この男の顔を見て分かる。

誇らしげな表情は事実であると告げているような気がした。
 
「もう槙人から聞いているかもしれないけど、最近やっと騒がれるようになった人格変化事件があるだろう?あれはこの機械で僕達が行ったことだ」

魁人は湊達の反応を窺った。

四人とも納得のいかない表情をしている。

「でも、おかしいやろ?」

幾分か部屋の空気に慣れた湊は、やっとの思いで口を開いた。
< 28 / 170 >

この作品をシェア

pagetop