魂‐soul‐
「お前ら!もうすぐ授業が始まるぞ!騒いでないでさっさと席に着け」
 
「相変わらず、うるさいわ」

朝からヒステリックに叱責を飛ばして去っていく教師を湊は睨んだ。
 
「仕方ないんちゃう?ストレス溜まってんねんって」
 
その証拠にほら、と教師の頭のてっぺんを指差したのは塚原朔馬(つかはらさくま)。

そこは太陽の光を受け、光沢をもっていた。

「あれはきっと苦労の結果やで」
 
わざとらしく溜め息をつき、哀れんだ。
 
「もうちょい見ときや」
 
朔馬はニヤリと悪戯な笑みを浮かべた。

湊と武流は朔馬の餌食になる哀れな教師を見守る。

すると突然、教師が前のめりに躓いた。湊が目を凝らすと、細いワイヤーが光の反射で見えた。

そのワイヤーが引き金となり、勢いよく1‐Fの後ろドアが開いた。

精密に計算された装置が作動し、前のめりになった教師に向かって黒板消しが飛んだ。

しかし、それは頭のてっぺんを掠めるだけで終わった。
 
「よし、成功」
 
朔馬はガッツポーズをした。
 
「全然成功してへんやん」
 
湊が面白くなさそうに言う。
 
「当たったら、後でうるさいやろ。見てみ」

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