魂‐soul‐
教師は何が起こったのか理解できていないようで、首を傾げながら、何事もなかったかのように歩いて行った。

頭はチョークの粉で白く染まり、サイドに残ったわずかな黒髪と対比しすぎていて、より一層コンプレックスを強調しているようだった。

問題のブツはというと、あらかじめ開けられていた窓から外へ、一直線に落ちていった。

証拠隠滅。
 
「あぁ!なーる」
 
武流がニヤニヤしている。
 
「名づけて、知らない内の羞恥プレイ!」
 
朔馬が湊にウインクを飛ばした。
 
「今度、湊に試したいから教えてくれよ!」
 
「俺、ハゲてへんし!」
 
ゲラゲラ笑う朔馬は、100%の理系型である。

そのうちでも物理において特に秀でていて、こうして日常で実験の真似ごとをするのが好きだった。

しかし、文系センスは皆無と言っていいほど乏しかった。
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