魂‐soul‐
朔馬の姿が頭をよぎる。

秋人の言っていたことはハッタリではなかった。

全速力で湊は目の前に延びる一本道を走った。

途中、足が滑りそうになり何度も体制を整えながら「菊の間」と書かれた和室の襖を勢いよく開けた。

二十四畳のその部屋は掛け軸が飾ってあった。

畳も新調されたものらしく、まだ独特の匂いが鼻を掠める。

「湊!」
 
駆け寄ってきたのは朔馬だった。

見た限りどこも怪我などしていない。
 
「あのヤロ~」
 
そういえば朔馬はこういうゲームに強かった。

よく一緒に推理物のゲームを解かされたものだ。

湊が解けて朔馬が解けないはずがない。
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