魂‐soul‐
「やぁ」
 
棒付きキャンディーを舐めながら秋人が姿を現した。
 
「彼を探しているようだけど、絶対来ないよ」
 
「どういうことや?」
 
「だって、負けちゃったもん」
 
湊は頭を鈍器で殴られたような気がした。

周りの全てがモノクロに見えて、秋人が何か言っているが頭に入らない。

武流がゲームオーバー?

信じたくない。

だがさっき頭の片隅で分かっていたではないか。

誰か一人が脱落していると。

しかしまだ受け入れ難い事実に湊は放心していた。

何分そうしていただろうか。

我を取り戻したとき、すでに秋人の姿は無かった。
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