魂‐soul‐
「しっかりしいや、湊!」
 
朔馬が湊の肩を揺さぶった。
 
「あ、あぁ」
 
微笑んでみせるが自分でも顔が引きつっているのが分かる。

湊の顔色は悪く今にも倒れそうだった。
 
「あいつ、何て言ってた?」
 
「次は一時間後にここから始まるみたいやで。それしか言ってなかったわ」
 
「もうそろそろ時間だね」
 
雅が渡された腕時計とは違う、自分私用のブランド時計を見ながら言った。
 
「武流、どうなるんやろ?」
 
朔馬の呟きに答える者はいなかった。
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