魂‐soul‐
砂壁と思われたものは全て倒れ二十四畳だった菊の間は元の形からあっという間に姿を変えてしまった。

目の前は畳の壁に遮られて先が見えない。

これはまるで…。
 
「迷路?」
 
「そ♪ルールは簡単。ゴールに辿り着くだけ。制限時間は一時間。時間はさっきの腕時計の横にあるリセットボタンを押せばいい」

時計の横を見ると確かに黄色のボタンがあった。

「始める前に一言……俺は『嘘つき』だ」

いったいどういう意味だ?

湊は蔵人の言ったことに疑問を抱いた。

二人も同じようで首を捻った。

「じゃ、ゲームスタート」

腕を上げ、ゲーム開始宣言を高らかに行った蔵人は颯爽と姿を消した。

まるで忍者であるかのように。
 
「面白そうじゃん」 
 
珍しく興味を覗かせた雅。

じっとしているわけもいかず三人は警戒しながら道を進んだ。

畳がミシリと音を立てる。
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