俺様な狼上司に迫られて!






…え、嘘だろ?


まさかこの状況でそんな…









「…スー…スー…。」

「---------。」








(こいつマジかよ---。)








目の前で爆睡してしまったこいつを見て
俺は1人熱を残して現実に取り残される。



-----何の仕打ちだこれは。







(あんなに酔ってたとはいえ…)






あそこまで言っといて
しかも今こうしてやっといて

ここで寝るやついんのかよ?!?!






と心で訴えるものの

だからといって本人が起きるわけでもなく







(………マジで明日覚えてろよ。)







と心の中でこいつに言いながら
俺は仕方なく自分の熱を冷ますことに徹底した。




さすがの俺も
寝ている女に手を出すほど鬼畜でも飢えてもない。






-----まぁでも…





少しくらいの意地悪、許されるだろ。










--------------

---------

-----







「…くっ……くくっ…!」

「-----おい、笑ってんじゃねェよ。」







一通り話終わったところで
タイガが堪えきれない、と

肩を震わせて小さく声を上げながら笑っていた。





---お前俺の苦しみをもっと慰めろ。






と俺が言えば
タイガはもう俺に構うことなく大爆笑。








「マジでさすが俺の妹だわぁ!!」

「…お前なぁ…。」

「こんな野良狼を一発でコテンパンに…!!」







最高すぎるだろ!!

とざまぁみろと言わんばかりに
俺を見て大爆笑するこの男。



…お前好きな女に途中で爆睡された俺のメンタル分かってんのかコラ。







「そんで?意地悪したのか?」

「当たり前だ。
…そのまんま寝て、起きてパニクってるあいつに」










---------




『な、何で私…下着なんですか?!』

『---見たまんまだけど。
そーゆーことだよ。』

『………。』





---------










「---って言ってやった。」

「うわぁ……酔っ払いに容赦ねェな…。」







覚えてない人の記憶をいいことに…



とサユリに哀れな気持ちを思うように
俺を見るタイガ。








「自業自得だ。」

「…でもそれで避けられることなく
付き合うところまで持ってくのは」







さすがお前だわ…。




と俺に言ってくるタイガ。


…いやまぁ
あんなことを言っておいて


俺が特に何か努力をした記憶はないんだけどな。








「---で?今どうすか、お気持ちは。」

「…何だよどうって。」

「嬉しい♡とか
超絶幸せです♡とか
何かないわけー?」






とニヤニヤしながら聞いてくるタイガ。




…うわぁ酒入ってウザさが増してやがる…。








(こりゃ…)







今夜は長くなりそうだな…。





と思いながら
俺はまたビールをゴクッと飲み干した。







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