俺様な狼上司に迫られて!






「……私も幸せだよ。」






私は前に向き直ってから

ギュッと手を握り返しながら
そう彼に返した。






(…いつもなら恥ずかしくて絶対言えないけど…)






今日くらい、いっか。





と何だか私も吹っ切れて
素直に気持ちを告げる。






「…!」






そんな私に彼は驚きながらも
すぐにフッと笑って

手を握る力を強めた。








「…あとさ、言ってなかったんだけど。」

「? うん。」

「……俺らあの時、何もやってねーんだ。」








(………。)








------ん?




私は彼の言葉に

何の話だ、と疑問を抱く。





あの時何もなかった??

どの時のことだよ。











「…あの日、しそうになって
お前が先に寝たから…やってないんだよ。」

「…あの日しそうになった…?」







しそうになった…




しそうになった…?








(………。)












「---------え?」






それってもしかして…




あの日?










「…忘年会の日のこと?」

「あぁ。」








………。










「…えっ?!そうなの?!」








(はい?!?!)









和やかな雰囲気もつかの間



現実に戻る。








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