俺様な狼上司に迫られて!






(え、ちょ……え?!)






突然のカミングアウトに
私は目を見開く。



あの日私が寝て何もなかったって…






それマジ?!









「じゃあ何であんなこと言ったの!?
紛らわしすぎるでしょうが!!」

「それは…お前が途中で寝たから…!」







意地悪もしたくなんだろ!




と言い訳をする彼。






(い、いやまぁ確かにそんな場面で寝ちゃったなんて悪かったかもしれないけどさ…!)







「ネタバレまでの期間長すぎでしょ!」

「…言うタイミング逃した。」







(…はぁ…マジかよ…。)








酔ってフラフラな人を相手に
怒るわけにもいかず

私は冷静になって頭を整理する。






…何も無かったのかよ…。




ってことはあれか

私はずっとからかわれてたのか…。







(…はぁ、マジで心臓に悪い。)







あの日飛び起きて
あんなこと言われて
あんなことをされて


私は一体何をしていたんだ本当に。







(……まぁでも…)








隣で
酔っているせいか素直な彼が

申し訳なさそうにションボリしているのを見て

反省しているのを感じ
仕方なく許すことにした。






…どっちにせよ









「まぁ…でも私があなたを好きになったのには変わりないから。」








別にあれがあったから
好きになったわけではないし。


きっかけではあったかもしれないけど

決定打ではないから









「…もう別にいいよ。」









と私が言う。




すると眉を下げながら顔を上げて

揺れる瞳で私を見る律樹。






…なんか…







(手繋いでバツが悪そうな顔してるこの感じ……何か子供みたい。)







と私がクスッと笑う。

すると律樹が
何だよ?と私に尋ねてくるので

私は







「何か律樹可愛いなぁって。」






と正直に言えば


照れたような顔をしながらも
律樹は少し拗ねながら

前を向き直す。




そして








「…お前の方が可愛いんだよ、ばぁか。」







と 小さく呟く。






-------ドキッ






私はそんな彼に
思わずどきっとした。







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