俺様な狼上司に迫られて!
だけど
そんな私の期待は裏切られることになる。
それはまりなさんに
お手洗いに付き合って欲しいと呼び出された時だった。
呼ばれた時点で何か違和感を感じたのか
律樹はまりなさんに
「おい。」と声をかけていた。
「ふふ、何よ律樹?嫉妬?」
「違ぇよ。…分かってんだろ。」
睨むように律樹はまりなさんに目を向けて
まりなさんはそれを微笑みで返す。
「---サユリさん、行きましょ?」
「へ、あ、はい!」
私はまりなさんの後ろをついて行くように歩く。
トイレに着いてから
まりなさんはお化粧を直す。
そしてその綺麗な横顔を私に見せながら
綺麗な声で私に告げた。
「……サユリさん、あなた…
律樹と別れてくれない?」
そう言ったまりなさんの声が
2人だけの空間に
ハッキリと響いた。
(---------は?)
私はあまりの驚きに声が出なかった。
…え、今ここにいる目の前の人…
(本当に…さっき庇ってくれたまりなさん?)
そう疑ってしまうように
彼女は天使のような顔をして
私にそう告げたのだ。
「あ、の……突然、何ですか それ。」
「ふふ、本当は会ってすぐに
ずっとそう思ってたの。」
だってあなた
律樹にはふさわしくないんだもの。
そう続けて言ったまりなさんが
優しい笑みを浮かべながら
私の方を向いた。
「…もう1度言うわね。
あの子と別れてくださらない?」
------前言撤回。
この女性、悪魔です。