俺様な狼上司に迫られて!
4人とも
戻ってきている私にまだ気づいておらず
私はそのままその場に立ち止まって
様子を見ていた。
これは…戻れるタイミングじゃなかった。
「ほら、お父さんだって同じ事を思ってるのよ。
ね?お父さん?」
そう言って勝ち誇ったように
その顔をお父様の方へ向けるまりなさん。
しかし
---------パァァン!!!
そこに響き渡ったのは
席を立ち上がったお父様が
まりなさんの頬を思い切り叩いた音だった。
お店全体に響いて
そこにいた他のお客さんも
全員こちらに視線を向けている。
(--------え?)
私も思わず
その光景に目を見開いていた。
思い切り叩かれて
座っていた椅子から
まりなさんは落とされていた。
そして頬に手を上げながら
目を見開いて、お父様を見上げている。
「…いい加減にしなさい。」
静かになったお店の中
低いその声が
まりなさんに向かって放たれる。
思わずお母様も律樹も
目を見開いて それを眺めていた。