俺様な狼上司に迫られて!





人待たせておいて
こんなこと言えるのなんて

この俺様上司の彼ぐらいしかいないだろう。



まぁそれを承知で待っていたのは私だけども。




そんなことを思いながら
この黒い綺麗な高級車に乗り込む。






「あの…これ本当に部長のなんですか。」

「それ以外に誰のだっつんだよ。」

「え…いや別に。」






ちょっと気になってそんな質問をして
助手席に乗りシートベルトを締める。




(部長クラスになるとこんな車も買えちゃうんすねぇ…。)




なんて考えながら
軽く車内を見渡す。


…あれ、意外と綺麗に使われてる。




って、こんなこと思っちゃ失礼か。







「待たせて悪かったな。」

「…え。」





え、今この人なんて言った?






「どこ行くかは決めてある。
今日は俺の奢りだ。好きなだけ食べろ。」

「え、え!あの、そんな…!」






まさかあの部長が
私が何か言う前にアッサリと謝ってきて

しかもそれに加えて
奢る、だなんて…な、なな…





(-------何を企んでいるんだこの人!)







ここでもまた
乙女の思考が働かない自分の頭が可哀想になってくる。



きゃー部長素敵!
何ていい人なの!かっこいい!




…できれば私もこんな感じで幸せを感じたかったのだけどね。







「も、申し訳ないです!
それに、そんなことしていただく理由もないですし…。」

「あ?
んなの、俺がしたいからしてるって理由で十分だろ。」

「え……。」






ぶ、部長がしたいからしてる…?



私に奢りたいから奢るってこと?

………いやそんなバカな。





(-----ないないない。)






絶対これには裏があるんだよ。

この男のことだ
絶対何か企んでるはず。






「……そんな怪しまなくても
別にとって食おうなんて考えてねェ。」

「-------へ。」





-----ギクッ!





私の顔に出ていたのか

部長は私の考えを見透かして
そんなことを言ってくる。


え、でも
それ以外にあなたが私に構う理由…なくないすか…。







「……はぁ。
いーから俺に奢られてろ。
気分だ気分。今日はそーゆー気分なんだよ。」

「は、はぁ……。」






何でもいいからとにかく納得して信じろ、とでも言うように

私に言う部長。





…そこまで言うなら…まぁ…。





なんて思い
ありがとうございます…と静かに返す。






(うーん…ますますこの人読めない人だな…。)





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