俺様な狼上司に迫られて!





「入りません!」

「…フンッ、つれない奴。」







私がハッキリそう言えば



そう返事をして頭を掻きながら
1人で脱衣所へ向かう律樹。







「……サユリ。」

「ん?何?」








ふと そう名前を呼ばれて

返事をして振り返れば
脱衣所から出てきて

私の方へ歩いてきた。







そして

-------ギュッ、と抱きしめられる。








「っ…な、な…?!」

「サユリ。」








もう1度、名前を呼ばれる。




-----ドキッ





心臓が そう鳴る。








「……俺のこと好きか?」







そして

ただそう、聞かれた。







(-------え。)






突然の質問に

私は心臓を高鳴らせながら

顔に熱を集める。








「そ、そんなの言わなくても…!」

「分からん。」

「なっ…!嘘つき!」

「フッ、悪いが俺は鈍感なんだ。」

「うぅ…意地悪!」







からかいながらそう言うのに



ギュッと、抱き締める力が強くなって

更に私と彼の距離が縮まる。









「…どうなんだよ。」

「……そんなの…す、す…」

「……。」

「……好きに、決まってるでしょ?」








そう言えば


彼は満足気に笑って








「…そ。」






ただそう一言だけ言って

強く強く、抱き締められる。







「…じゃ、風呂入ってくるわ。」







そう言って私から離れて
ニヤッと笑いながら

また脱衣所へ戻って行った。






(な、何だったんだろう今の…。)






ドキドキさせられて

ニヤニヤしながら戻って行って。







…私のこの心臓、どうしてくれるんだよこの人は!








「…っ、フフッ!」







本当に

あの人には叶わないなぁ。








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