俺様な狼上司に迫られて!
お怒りです!
---そして10分後
「…よし、行くか。」
「う、うん…。」
彼の準備が終わり
私たちは荷物を持って玄関を出る。
行き先は先ほどおーちゃんから
メールでK駅待ち合わせって言われていたけど
(…行くまでにちゃんと話さなきゃ…。)
陸也くんのこと
ちゃんと言っておかないと
絶対に大変なことになっちゃう…。
そう思って
私は歩きながら律樹を見上げる。
「…ん?何だ?」
「あ…あのね。
律樹に言っておかないといけないことがあって…。」
「………。」
な、何て言おう。
どう説明したらいいんだろう。
素直に全部説明するわけにも…
(だって陸也くんは……)
おーちゃんの幼馴染で
私の---------初恋の相手なんだもん。
「…サユリ?」
「っ!!」
「…お前、何隠してんだよ。」
私の様子を察して
律樹が私を見下ろしながら
そう尋ねてくる。
…言わなきゃ。
でも言ったら律樹…行かせてくれないかも。
今はもう何とも思ってないし
そもそもあっちだって
私のことは何とも思ってなかったし…
何て言うのが
正解なの?
「…おーちゃんがね、連れを連れてくるって。」
「連れ……?」
「そう。
それで、その人が……。」
その人が
その先の言葉がでなくて
私は詰まらせたまま
律樹から視線を逸らす。
---言いづらい。
でも…言わなきゃ。
そんな気持ちが私の口を動かして
正直に、彼に告げた。
「おーちゃんの、友達なんだけど…
私昔その人のこと……」
「………。」
「………好き、だったの。」
そう言うと
それまで一緒に歩き進んでいた律樹が
足を止めた。
そして彼を見上げれば…
見開いたその瞳が
私を見て 揺らいでいる。