俺様な狼上司に迫られて!
「…かしこまりました。
少々お待ちくださいませ。」
注文を済ませて
私たちはとりあえず一段落。
急に呼び出され準備をしてきたから
今からやっとゆっくりできる。
「急に呼び出してごめん。
せっかくだから会いたくなってさ…。」
そう言いながら私と律樹に謝る陸也くん。
私は慌てて 大丈夫だよ!と声をかける。
「ずっと会えてなかったし
久々の再会だもん。どうってことないよ。」
と気を使わせないように言えば
陸也くんはホッとしたように笑って
ありがとう、と言った。
律樹もちゃんと愛想良く笑ってくれている。
知らない人相手でも
さすがは王子部長、爽やかスマイルはお手の物だ。
「それで、2人は長いの?」
「え?あ、いや、最近だよ。」
「え、そうなの?
仲良さそうだから、長いのかと思ってた。」
そう言う陸也くんが
目を丸くして私たちを見る。
まぁ期間は短いけど
一応同棲してる仲だしね。
そう見えてるなら嬉しい。
「陸也くんは?
彼女さんとかアメリカで…。」
「あぁ、いや。
恋人はいないよ。」
向こうで何度か出来たけど
やっぱりそう長くは続かなかった、
と小さく笑いながら言う陸也くんに
おーちゃんが背中を軽く叩く。
「でも陸也はかっこいいから
こっちですぐ彼女できるって!」
「はは、どーも。」
「俺も早く彼女欲しい〜。」
そう言っておーちゃんが
「誰か可愛い部下でも紹介してよりっちゃーん!」
と律樹にせがむ。
「飢えるな。
そのうちすぐ出来んだろお前は。」
「えー!でも今彼女いない歴記録更新中なんだけどー。」
「知るかっ。」
そう言って律樹は出されている水を飲んで、おーちゃんを放る。
おーちゃんはブー、と拗ねた顔をしながらも
すぐに表情を元に戻して
けろっとこちらに向く。
何だかんだ言っても
さほど彼女の存在に執着していないのがおーちゃんだ。
「…あ、そうだサユリ。
これアメリカのお土産。」
「え…いいの?!
わざわざありがとう!」
そう言って陸也くんから
お土産と言われ、紙袋を渡される。
私はそれに驚きながらも
笑顔でそれを受け取る。
…その時
一瞬
少しだけだけど、
陸也くんと手が重なる。
私はその瞬間ビクッとして
手を引いてしまい、紙袋を落とす。
「!!」
それを律樹も目撃していた。
「あ…ご、ごめんね。
本当にありがとう!」
そう笑いながら誤魔化して
私は紙袋を拾う。
陸也くんもハッとしながら
ごめん、と声をかけてくれた。
律樹はそれを見て驚いていたけど
特に何も言うことはなく
そのままその場を見過ごす。
「お待たせいたしましたー。」
そこでタイミング良く
料理が運ばれてくる。