俺様な狼上司に迫られて!
それからも律樹はガブガブ飲み干しては
お代わりをし続け
案の定
段々と頬が上気し始める。
それでも今日は必死に強気に見せたいようで、酔った仕草を抑えている。
…やっぱり、何か2人おかしいよ。
「…あ、そうだサユリ。
言ってなかったんだけどさ…。」
と
隣の陸也くんに話しかけられる。
---陸也くんも何だかんだ何杯か飲み進めているのに
こんなに表情も変わらず
シラフでいられるなんて…。
そう驚きながらも
私は彼に耳を貸す。
すると-----
「帰ってきたって言っても、
たった1週間だけなんだ。
…来週にはアメリカに帰るよ。」
(----------え?)
そう言った陸也くんに
私は思わず目を見開いた。
…来週には、またいなくなるの?
「…そ、そうなんだ。
はは、私おーちゃんから 帰ってきた!ってだけ聞いてたから
本当に日本に戻ってきたのかと…。」
そっかそっか、一時帰国かぁ
と
私はなるべく動揺しないように
笑ってみせた。
…だけどやっぱり
少し期待していた分
またずっと会えなくなると思うと…
寂しいもので。
「………。」
そんな私の表情を
律樹は見逃さなかったらしく。
また一杯がぶっと飲み干してから
グラスを置いて立ち上がった。
「…! 律樹、トイレ…?」
「………。」
「…律樹?」
私の問い掛けに応答しない律樹に
違和感を覚えて
私は立った彼の手を咄嗟に掴む。
---------が。
「っ、離せ!」
「-----っ?!」
その瞬間
-----バシッ!っと
私は手を振り払われてしまった。
(っ…え…?)
私は突然の出来事に目を丸くして
律樹を見上げる。
律樹は
自分でもハッとしたのか
あ…、という表情をしたけれど
それでも私に何も言わず、
フイッと顔を背けて
どこかへ行ってしまった。
(…何、で……?)
私は振り払われた手を眺めながら
少し思考が止まる。
これを見ていた陸也くんとおーちゃんも
思わず声がでなくて
黙っていた。