俺様な狼上司に迫られて!
(---------うそ。)
私は目を見開いたまま
陸也くんを見る。
…陸也くんが、私を…
(……好き…?)
初恋の人が
私を好きだなんて---
私がその事実に
頭を真っ白にしていると…
「っ…お前ら…、何してんだよ…?!」
「---------!!」
後ろから
焦ったような低い声が聞こえて
私は思わず振り向く。
-----そこには
目を見開いたまま
眉間にシワを寄せて
明らかに怒りを見せている…律樹。
「っ…あ、あの律樹これは…!」
「うるせぇ…!!」
------ビクッ!
私は律樹のその怒った声に
体をビクつかせながら
彼を見上げる。
酔いが回っているとはいえ
こんなに怒っている彼は…見たことがない。
「アンタ人の女に何言ってんだよ!!」
そう言いながら律樹は
怒りの形相で陸也くんの前までやってくる。
そして胸ぐらを掴み上げて
彼を睨んで言った。
---そんな彼らの言い争いに
周りにいたお客さんもざわめき始める。
「っ…律樹落ち着いて…!」
「うるせぇ、お前は黙ってろ!」
「ダメだ律樹!ここは店だぞ少し気を沈めろ!」
私とおーちゃんで
何とか律樹を止めようとするけど
お酒の力も手伝ってか
2人の争いは収まりそうもなかった。
「-----でも、彼女を苦しめてるのは君だ。」
「っ!!」
「それに……決めるのは、サユリだから。」
そんな中で
睨み返していた陸也くんがそう返す。
その言葉におーちゃんも「おい、やめろ!」と止めるが
その反対に次は律樹が怒りを増させた。
「っ、お前…!!」
「律樹やめて!!」
さらにキツく掴み上げた律樹の手に
私は手を重ねて 制止する。
「乱暴はやめて…!
落ち着いてよ律樹!!」
「っ、落ち着けってお前…!!」
そこまで言ってから
律樹は歯切れが悪そうに顔を歪めて
それからチッ…と舌打ちをしてから
陸也くんを離す。
(っ……良かった、手を放した…。)
しかし
そう私がホッとしたのもつかの間に
律樹はそのまま自分の財布から
お金を出して
バンッ!と机に置いてから
スタスタとお店の出口に向かう。
「っ、え、律樹…?!」
そのままお店を出て行った律樹に
私は目を見開いて
慌てて私も後を追う。
おーちゃんと陸也くんに
目で「ごめん。」と謝り
そのままお店を出た。