俺様な狼上司に迫られて!
---それから私は
一旦お店に戻って
2人のところへ行く。
「…っ、サユ!律樹は……。」
「…はは、ごめん。引きとめられなかった。」
ごめんね嫌な雰囲気にさせちゃって!
と苦笑いをしながら2人に謝り
私は頭を下げる。
そんな私を見て
陸也くんが顔を上げるように言う。
「…ごめん。俺のせいだね。」
「陸也くんは悪くないよ。」
「でも…俺が言ったのが原因だから。」
…ごめん
と陸也くんに次は謝られる。
告白してくれた相手に
謝らせるのはすごく申し訳ない。
「大丈夫だって。気にしないでよ。
陸也くんは全然悪くないし…。」
悪いのは全部…
全部…
「…っ、サユお前…!」
「…え……?」
---全部、私だ。
「…サユ、泣くな…。」
「っ…!」
おーちゃんにそう言われて
私は初めて頬を伝う熱いものに気がつく。
それを手で拭って
あはは、と笑って誤魔化す。
でも…
「…律樹に何か言われたか。」
「っ……。」
「…でもな、サユリ。」
おーちゃんが私にそう尋ねてきて
私は思わず言葉を詰まらせた。
そしておーちゃんが
続けて私に言う。
「何を言ってもあいつは…お前のこと考えてるはずだから。
それだけは…分かってやって。」
「っ…おーちゃ…。」
涙が止まらない私に
陸也くんもさらに続ける。
「…サユリの気持ちはわかったよ。
だから…今日はもう帰って、彼と仲直りしな。」
そう言って優しく笑ってくれる陸也くん。
…こんなに2人に気を使わせて
何をやってるんだろう私は…。
(でも………。)
2人とも、ありがとう…。
私達はとりあえず代金を支払って
店長に謝罪をしてから
お店を出る。
そしておーちゃんと陸也くんに
改めて謝りとお礼を言った。
「本当に今日はごめん、2人とも…。」
「気にすんな。
サユも気を落とすなよ。」
「ごめんねサユリ。
彼にも…悪かったって伝えておいて。」
またいつか
皆で集まろう。
そう言って彼らは歩いて行って
私も、帰り道を歩き出す。
(……律樹…。)
…ごめんね。