俺様な狼上司に迫られて!





結局あれから家に帰ることができず

私は近くのホテルに泊まった。






…律樹、ちゃんと帰ったよね?







心配ではあったけど
なんだか連絡をするのも気が引けて

気まずいまま会社に出勤。





(律樹のことだから
いつも通り王子スマイルかましてるんだろうなぁ…。)





と思いながら

オフィスに入れば…






「ちょ、やっときた!!」

「へ------。」






そう言って部屋に入るなり
マユコちゃんが高速で駆け寄って私を連れて部屋を出る。



え、ちょっとちょっと…何事?







「あれ!!どういうこと?!」







そう言ってマユコちゃんがビシッと指差す先には…








「---------えっ。」







王子スマイルを振りまきながら
毎度の如く女子に囲まれる部長…





ではなく





寝不足らしい眉間にシワのよった険しい顔で
黙々とパソコンと睨めっこを続ける彼の姿。




一気に老けた感じがムンムンする。







「喧嘩したの?何言ったの?
あれ相当落ち込んでるしもう誰か分からないレベルなんだけど。」

「……確かに…。」






おかげで社内の女子の元気もない。


どよーん、とした空気に

あのいつもの華やかさの欠片も見当たらない。






「…まぁちょっと昨日喧嘩したんだよね…。」

「何で喧嘩したの?
ただならぬ感じがするけど。」







ただならぬ ねぇ……。


まぁ確かにお別れの危機を迎えてるから
ただならないけども…。






(…謝らないとなぁ…。)






昨日言い過ぎた感じはあるし

私が悪かったし…。






「…でも謝るタイミング見失ってるんだよね…。」







はぁ…とため息をつけば

マユコちゃんも隣で
困ったように眉を下げる。







「あれじゃあ今日、彼仕事にならないよー?」

「…って言われてもなぁ…。」







昨日の今日で

しかも私昨日帰らなかったわけだし…





…気まずいんだよね…。







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