俺様な狼上司に迫られて!
少し経ってから
サユリが服を着て
髪の毛をタオルで拭きながら
リビングに入ってくる。
「律樹も入ってくれば?
お風呂ちゃんと沸かしてあるし。」
まぁ私が先に入っちゃったけど。
と小さく笑いながら
先ほどのことは気にしていないように
俺のいるソファに近づいてくる。
「あぁ…、少し後で入る。」
「そう?
…あ、何か飲む?ビールあるよ?」
そう言って
冷蔵庫に行こうとソファを離れるサユリの腕を
-----パシッと
俺は反射的に掴んでしまった。
「…あ…。」
「? 律樹?どうしたの?」
俺のその行動に
サユリが振り返って
俺の顔を覗き込む。
俺は一瞬言葉を飲み込んで
視線を逸らすが
サユリがそれを 許さない。
「律樹…どうしたの?
さっきから何か変だよ。」
言いたいことがあるなら、言って?
そう言って
俺の前にしゃがみこんで
サユリの手を掴んでいた俺の手を、
優しく握る。
(……拗ねたガキかよ、俺…。)
何だか自分の立場が情けなくて
恥ずかしくなる。
でも
目の前にいるサユリを見て
そんな自分の格好悪さなんて
どうでも良くなった。
「……律樹?」
「………。」
俺は黙って
目の前にいるサユリの肩に
額を寄せた。