俺様な狼上司に迫られて!





(…やっべ…長湯しすぎた…。)






頭を冷やすために風呂に入ったが

長湯でポカポカになりすぎて
今度は頭がボーッとする。




…顔も体もあっちぃ…。





俺はゆっくり着替えを済ませて

リビングへ戻る。




髪の毛は後で乾かせばいいか…。







(……あ…。)






リビングに戻ると

サユリはそこにいなかった。




多分もう先に寝たんだろう。



まだ寝室に入る気にもなれず

俺はまたソファに座って
背もたれに寄っかかる。



はぁ〜〜……






(…頭ボーッとするし…眠い…。)






うとうとし始めて

段々瞼を閉じていき
徐々に意識が遠のいて行く感覚がした。












『……言えないなら、頷け。
…お前は俺が……好きなのか?』


『……はい。』










(あ……これ、付き合った時の…)







いつかの記憶がフラッシュバックして

どんどんその世界の中に
入っていく気がした。






…すげぇ懐かしい…。




確かあの時
俺もあいつもすっげぇ飲んでて…







(2人でベッドに倒れこんで
そのまま…寝ちまったんだっけ…。)







まだ…あれからそんな経ってないんだよな…。







そんなことを思いながら

俺は眠りに落ちて行く。






……やば…このまま寝たら風邪…










「……樹、起きて。」






……?








「……律樹、起きて。
ここで寝たら風邪引いちゃうよ?」








遠のいていた意識の中

そんな声が聞こえてきて
意識が浮上する。






目をうっすら開ければ



目の前に

心配そうに俺の顔を覗き込む
サユリがいた。








(…サユリだ……。)








これ…夢じゃねぇよな…?




あれ、まさかこれも夢…?








俺はこれが
現実か夢かよく分からなくて


ボーッとした頭の中で






サユリの頬に
そっと手を伸ばす。


頬に手を添えれば



サユリは驚いたように
ビクッとして、俺を見る。








「……あぁ、夢じゃねぇのか…。」







本物だ…





そう言ってホッとしながら
ふにゃっと笑う。








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