俺様な狼上司に迫られて!
------ガシッ!
「逃げられると思うなこの野郎!!」
「ぎゃぁぁあ!」
なんと
あっさり捕まった。
開始10秒くらいで。マジ速攻。
部長の動きが俊敏すぎるんだよ!!
「さぁて…吐いてもらおうか。」
「うっ、悪人ヅラ…!」
「んだとコラ。」
…と、まぁ
おふざけもここら辺で終わりで。
捕まってしまった私は
いとも簡単に彼と向かい合わせに立たされる。
…目を見て嘘を付くなんて
私にそんな技術ないんですけど…。
(だからと言って正直には何か言えないっす…!!)
私の中で葛藤している間
早く言えと威圧をかけてくる鬼部長、律樹。
松岡 大ピンチ!
…と、思いきや。
-------プルルルル…!
と、
タイミング良く鳴ったのは
私の携帯。
誰か分からないけど
とりあえずナイス!!
「で、出ていい…?」
「…しゃーねぇ。」
と
律樹もそこまで鬼じゃなく。
私はすぐさま電話に出た。
「もしもし松岡で…え、お母さん?」
「!」
私の声に
律樹もピクッと反応する。
こんな時間に電話なんて珍しい…
どうしたんだろう?
「どうかしたの?」
『どうかしたの?じゃないわよ!!
イケメンと婚約したって本当なの?!』
「ぅッ-----!?」
は、はぁ?!?
思わぬところからの
そんな言葉に
私は思わず息が詰まる。
え、ちょ、誰から聞いたのそれ?!
『今タイガくんに仕事先でバッタリ会って…。
そしたら何か彼氏がいるとか言うからさぁ!』
信じられないしガセネタかと思って
思わずペットボトルの水吹き出しかけたわよ!
と
電話越しでも大声で言うお母さん。
あの、ちょっとボリューム下げていただかないと隣の人に聞こえちゃ---
「それ、本当だって伝えとけ。」
「………。」
あ……聞こえてました。