俺様な狼上司に迫られて!
途中、自然に予約しておいたお菓子屋さんに寄って
実家に持って行くお菓子を受け取ってから行った。
別にお菓子なんていらないのに…。
(こういうとこしっかりしてるんだよなぁ…。)
そう思いながら
運転席に座る彼を見て
小さく笑みが浮かぶ。
彼はそんな私に気づかずに
運転を続ける。
「…………ん、着いたぞ。」
「はーい。」
そう言われて
家の前で降ろされ、
律樹は駐車場に車を止めに行く。
そして帰ってきた彼と一緒に
インターホンを鳴らした。
ピーンポーン…
玄関で2人で立っていると
ドア越しに
バタバタと急いで走ってくる音がして
私は苦笑いをしながら、
ガチャッと鍵が開く音を聞いた。
「あらぁ!いらっしゃ……えぇぇえ?!」
玄関の扉を開けるや否や---
予想通りの、反応。
(お母さん驚きすぎだから…。)
まぁそうなるのは分かるけど…
と思いながら、
私は目の前に立っている
目を見開き口を開けているお母さんに
苦笑い。
「ちょ…えぇ?!
何かの間違いなんじゃないの?!」
と、信じられないという顔を向け
正直に言葉を放つお母さんに
ちょっと!とツッコミを入れる。
間違いって何!
「初めまして、神崎律樹と言います。」
サユリさんとお付き合いさせていただいてます。
と挨拶をする律樹に
お母さんは反射的に「どうもですどうもです!」と頭を下げる。
…お、お母さん落ち着いて…。
そんなお母さんに
大したものじゃないんですけど…と
お菓子を渡す律樹。
それでさらに
そんなそんな!と慌てるお母さん。
「ささ、入って入って!!」
そう言って張り切って中へ通すお母さん。
(…今日一日無事に終わりますように…。)
私はそう願うばかりだった。