俺様な狼上司に迫られて!
「……部、長…。」
「……律樹。」
「…え…?」
「…律樹って呼べよ。」
私が部長の名前を小さく呼べば
部長は少し黙ってから
小さく私に、そう返した。
名前で、呼べってこと…?
(っ………!)
何だか恥ずかしくて
私は一気に顔に熱を集める。
なかなか言わない私に
部長は少し拗ねたのか
ギュッ…とさらに抱きしめる強さを強めてくる。
「っ!」
「…呼べよ。」
(-------っ!!)
部長の低い声が
静かに私に届く。
言わないとさらに強めてきそうな部長の様子に
私は顔を真っ赤にしながら
ゆっくりと口を開く。
「……律樹…。」
「ん……サユリ。」
---------っ?!
私がやっとの思いで名前を呼べば
それに小さく返事をした後
不意に私の名前を呼び捨てで呼んできた部長。
部長のその言動に
私はまた ドクン、ドクン!と大きく心臓を鳴らす。
「………。」
それが絡めている腕から伝わったのか
部長が不意に黙る。
(っ…どうか、気づかないでいて…!!)
そう願うのに
現実はそうはいかなくて---。
「…なぁ、今…
すげぇ心臓バクバク言ったんだけど…?」
「っ…!!」
そう言うと
部長は私から体を離して
そのまま私の肩に手を置いて
私の体を反転させる。
(っ--------!!)
向かい合わせになって
部長の顔を見上げれば そこには…
「…今の反応、どういう意味だよ…?」
------ドキッ!
酔いのせいなのか
それとも違う理由なのか
上気して薄っすら赤く染まる頬に
色っぽく少し開いている唇。
そして
トロンと潤んだ 熱っぽい瞳が
私を見下ろしていた---。