俺様な狼上司に迫られて!
唇が離れて
私は目を開けた。
目の前には
薄く目を開けた---部長の姿。
「…今日も、ここにいろよ。」
掠れた声が
静かに私の耳に響く。
(-----っ…。)
この人は本当に
人の心を動かすのがうまいと思う。
こんなことして
こんなタイミングで
引き止めるのは---ずるい。
(……苦しい。)
彼のそういう
器用というか、慣れたような
その言動に気づくたびに
---私の心は 段々と締め付けられる。
こんな風に私の心が苦しくなったのは
いつからだろう。
「…部長は…。」
「……。」
「部長はどうして…簡単にそんな言葉言えるんですか…?」
この苦しい気持ちから
解放されたい。
もっと
今よりもっと
この人がこんな風に
誰にでもこんなことを言って
たくさんの女性を虜にしてきたと知れば
私はきっと幻滅して…
彼へのこんな気持ちも
きっと消える。
「…私のこと何とも思ってないなら
こんなこと…しないでくださいよ。」
私は
苦しい胸を掴むように
服の胸元の部分をくしゃっと握る。
(……っ…)
何だよ、これ。
こんなのまるで
部長のこと
好きって言ってるみたいだ。