俺様な狼上司に迫られて!
そして部長は少し離れて
顔を背け小さな声で言った。
「…お前は本当にバカだな。」
その声は
いつも聞く強気な調子はなくて。
なんとなく弱々しく聞こえた。
「俺が何も思わず
お前にこんなことしてると思ってんのか?」
「……え?」
部長は私に
低い声で、重い言葉を告げるように
落ち着きながらそう言った。
私はその真剣な言葉に
思わず息を飲んだ。
(何も思わず…って…)
そう思っていた私の気持ちを
否定するように言ってきた部長に
私は困惑する。
そんな私が黙っていれば
部長は
私の方へ振り返って
…切なそうな瞳を 私に向けた。
(----------っ…何、その目…。)
今まで見たことない
悲しそうな瞳に
私は言葉を詰まらせる。
何か、予感がする---。
無意識に
ドクン、ドクン、と心臓が鳴った。
そんな私に
部長は小さく、でもハッキリ告げた。
「…好きでもねェ女に
キスも欲情も、するわけないだろうが。」
(……え…?)
部長の表情と 真剣な声に
私は思わず目を見開いた。
予想もしてなかった展開に
私は頭が真っ白になった。