俺様な狼上司に迫られて!





そして部長は少し離れて
顔を背け小さな声で言った。





「…お前は本当にバカだな。」






その声は
いつも聞く強気な調子はなくて。



なんとなく弱々しく聞こえた。






「俺が何も思わず
お前にこんなことしてると思ってんのか?」

「……え?」







部長は私に

低い声で、重い言葉を告げるように
落ち着きながらそう言った。



私はその真剣な言葉に
思わず息を飲んだ。





(何も思わず…って…)





そう思っていた私の気持ちを
否定するように言ってきた部長に

私は困惑する。





そんな私が黙っていれば


部長は

私の方へ振り返って



…切なそうな瞳を 私に向けた。







(----------っ…何、その目…。)






今まで見たことない
悲しそうな瞳に

私は言葉を詰まらせる。









何か、予感がする---。





無意識に
ドクン、ドクン、と心臓が鳴った。









そんな私に

部長は小さく、でもハッキリ告げた。


















「…好きでもねェ女に
キスも欲情も、するわけないだろうが。」


















(……え…?)






部長の表情と 真剣な声に

私は思わず目を見開いた。





予想もしてなかった展開に


私は頭が真っ白になった。





< 43 / 212 >

この作品をシェア

pagetop