俺様な狼上司に迫られて!
久々に会った彼は
髪の毛は赤茶で
ワックスで整えられた綺麗な髪型に
大学時代
フットサルのサークルに入っていただけあって
引き締まった筋肉が
コップを掴んでいる腕から感じられる。
…これでもっとしっかりしてればなぁ…
「…あんたって本当勿体無い男だよね…。」
つい、そう呟く。
「あはは〜。
…で、そう言うサユは彼氏できた?」
「うっ。」
ニヤニヤしながら聞いてくるおーちゃん。
今この質問1番聞かれたくないやつ…。
(彼氏はいないけど…微妙な関係だし。)
-------例の部長と。
一発かましちゃったー!
…なんて軽いノリで言えるほど
私はおーちゃんみたいな感じではないし。
そっから関わりが深くなって
段々揺らぎ始めてるっていうか…
よくわからない状況
って
彼に説明できる気がしない私。
「…彼氏は…いないよ。」
と、まぁ一応は事実を報告。
「あれま、そうなの。」
「おーちゃんは?いるの?」
「んー?3ヶ月くらい前に別れた。」
(うっわーさすが狩る男…。
いや間違えた軽男か…。)
昔からモテモテのおーちゃんは
私が気づいた時にはいつも違う女の子がそばにいた。
チャラさは昔から変わらないようで。
「好きな人は?」
「えー…そうだなぁ…あ、サユかな!」
「帰るよ。」
「わー!ごめんごめん!冗談冗談!」
くだらない冗談をかますおーちゃんに
私が帰るそぶりを見せれば
慌てて引き止める。
真面目に答えろや。
「好きな人はいないよ。」
「ふーん、そうなんだ。」
「…何?サユはいるの??」
と、座り直した私に
ニヤっとしながら尋ねてくるおーちゃん。
そのニヤけ顏やめてくれ。
「…微妙、かな。」
私がそう言えば
おーちゃんは予想外にも
ビックリした様子で、目を見開いていた。
「マジで?!
誰!同僚!?てか会社の人?!
もしかして大学?!」
「ちょっ…声でかい!静かに!」
騒ぐおーちゃんを落ち着かせて
私は口を開く。
(おーちゃん別に会社一緒じゃないし…
相談、してみようかな。)
「会社の…上司、さん。」
「え…年上なんだ。意外。」
年上好みだったんだ〜?
と不思議そうな顔をしてこっちを見るおーちゃん。
…恥ずかしいからあんまり見ないで。
「好きなのかまだよくわかんないけど…
その人といるとドキドキして、
その人が他の人と一緒にいると…モヤモヤする。」
と私が言えば
おーちゃんは少し黙って私を見ていた。