俺様な狼上司に迫られて!
-------それから1時間後…
「サユぅー!サユの家泊まらせてぇー?」
「何言ってんのおーちゃん!!
しっかり立って!帰れんの?!」
…お察しの通り、おーちゃん酔いつぶれてます。
バーから出て
ケラケラと笑いながらフラフラ歩くおーちゃん。
肩を持って一緒に歩く私に
腕を回して
ギューっと絡んでくる。
「何でよ〜!いいじゃん、俺1人で家帰れないー!」
「帰りなさい!!タクシー使ってでも!!」
そう言って私に絡んでくるおーちゃんを離して
大通りでタクシーを捕まえる。
「ほら、おーちゃん家ちゃんと言うんだよ?!」
「ブー!サユのケチぃ!」
可愛い子ぶって
頬を膨らませながら拗ねるおーちゃんを
はいはい、と宥めながら
タクシーに乗らせる。
そして運転手の人に
お願いします、と言おうとした時
-------ギュッ
(へ……っ。)
私の両手をぎゅっと掴みながら
お酒で潤んだ目で私を見上げるおーちゃん。
え…何、その顔…。
不意にも、ドキッとした。
「おーちゃん…?」
「サユ…今日はありがと。
気をつけて帰るんだよ?」
その言葉を言ってから
ヘラッと笑い
パッと私の手を離した。
「じゃあねー。」
そう言って手を振ったおーちゃんは
タクシーの運転手さんに
行ってください、と言って
タクシーは発進してしまった。
(……ったく…。)
あの人はどこまでもやっぱり
年上のお兄さんだなぁ…と
去って行ったおーちゃんの方を見て
フッと笑った。
----------その時だった。
「…サユリ。」
(----------っ…?!)
低い声が
私の背後で 聞こえた。