俺様な狼上司に迫られて!
-----ドクン、ドクン…
聞こえた声に驚いて
心臓が嫌に大きく鳴った。
…この声って…
私が恐る恐る振り返ると
「…っ…ぶ、ちょう…!?」
---そこに立っていたのは
冷たい瞳で私を見下ろす 部長だった。
どうして、こんなところに…?
立っていた彼は私服で。
軽い服装から
きっと何か買い物か用事で
出てきたんだろうと思う。
---しかし今はそんなことを考えている場合じゃない。
(瞳…怖い……っ。)
その冷たい瞳が
鋭く睨むように私に向けられていて
低い声が、私を突き刺す。
…怒ってる…のかな…?
「どうして、ここに…?」
「そんなのはどうでもいい。
-----何なんだ今のは。」
-----ゾッ…!
明らかに怒りを含んだ声が
私に向けられる。
…この前みたいな軽い怒りじゃない。
本気だ-----。
「別に私は、何も…。」
「何も?
……抱き合って、手ェ繋いでたじゃねェかよ!!」
-----ビクッ!!
本気で怒っている部長の声に
私はビクッと肩を揺らした。
…抱き合ってた…?
手を繋いでた…?
(……あ…。)
きっと、部長が言ってるのは
おーちゃんのことだ。
酔ってるおーちゃんに肩を貸してたのと
さっきの、タクシーの…
(全部、見られてたんだ…。)
「-------来いよ。」
「っ、ちょっ…部長?!」
パシッと部長は私の腕を掴んで
グイッと引っ張りどこかへ歩き進んでいく。
(っ、どこに行くつもりなの…?!)