俺様な狼上司に迫られて!
「やっほー。いらっしゃーい。」
そして俺は車を自分の家に置いて
タイガの家までやってきた。
サユリには連絡はしていない。
タイガに連絡がいって
ここに来られるとなると厄介だ。
タイガが昨日のことを覚えていないのがバレる。
「へい、ビール。」
「ん、さんきゅ。」
荷物を適当に座ったそばに置いて
受け取ったビールを開ける。
----ゴク、ゴク…
一口飲んで
やっぱり仕事の後に飲むビールほど
うまい飲み物はないな、と思った。
あともう一口飲も。
「それでさ、あの後お前らどうしたの?」
「っブ-----?!」
缶に口をつけた時に
タイガにそんな言葉を言われ
思わず吹き出して
咳き込む。
「うわ、あっぶね!?」
「ゲホゲホ…!!
っ、お前いきなり話しかけんな!」
---本当は違うことで動揺したのだが
それはあえて言わずに
タイガにそう言った。
「…で?お前らどうしたの?」
「…どうって、お前なぁ…。」
俺は頭を掻いて
渋々話し出すことにした。
…何で自分でこんなこと言わないといけないんだよ。
何かの罰ゲームかっての…。
「…お前が昨日泥酔して
サユリの好きな奴バラしたんだろうが。」
「………あらま…。」
あらら…マジかよ。
と申し訳なさそうに眉を下げて
片手を頭に当てるタイガ。
だから言ったろうが、お前の悪酔いはやばいって。
「え、っつーことは…その…
お前、知っちゃったわけ?」
「…まぁな。」
「ありまぁ…やっちまったな。」
サユリに悪いことしたなぁ…
なんて反省気味に頬を掻くタイガ。
…まぁ、おかげさまで今俺は幸せなんだけどな。
「…あ、そういやお前の好きな子の写真見てないよな。」
サユリより可愛くねぇと許さねーぞ!
なんて言いながら
急に俺に迫ってくるタイガ。
お前の幼馴染愛は分かるけどよ…
最後まで人の話聞けって。
…まぁいいか、ここでサユリの写真見せれば
話は通じるだろ。
そう思って
はいよ、と携帯を取り出して
写真を見せる。
(写真つっても…寝顔だけど。)
付き合ったの昨日だから
ツーショットなんて無ぇし。
だから昨日の早朝
サユリが寝てる間に勝手に撮った。
そのあと2度寝したら
あんなギリギリになったが…。
「---------え。」
「………。」
「え、あの…これって…その…?」
俺の携帯を見るなり
凝視しながら
顔を引きつらせて 恐る恐る尋ねてくるタイガ。
「んだよ。」
「いやこれ……サユリだよな?!」
「あぁ。」
「あぁ、ってお前…!
は?!お前ら昨日…え?!」
「大丈夫だ。ヤってない。
けど昨日から付き合ってる。」
「---------。」
思わずタイガが フリーズ。
そんな驚くことかよ。
話聞いてたなら
だいたい俺の行動で気持ちくらいわかってると思ったんだが。
…もしかしてそこまではサユリも話してなかったのか?
「お前……。」
「あ?」
「…俺の妹を汚しやがってー!!」
…………は?